大和測量ブログ
平成22年7月29日に組合設立認可を受けてスタートした稲城上平尾土地区画整理事業が令和4年3月3日付で東京都知事より組合の解散が認可されましたので事業概要を紹介いたします。
稲城上平尾地区は東京都稲城市の南部に位置し、東側は天神通り(補助市道第2号線)、西側は神奈川県川崎市麻生区との都県境、南側は平尾外周通り(市道第15号線)、北側は学園通り(稲城市道13号線)に接した面積約25.1haが施行区域です。
・弊社と稲城市の組合施行土地区画整理事業
これまで稲城市内で弊社が調査設計業務を担当させていただいた組合施行土地区画整理事業は、完成事業が今回の稲城上平尾地区、京王よみうりランド駅前地区(S50~S56)、稲城平尾地区(S50~S57)、稲城第一地区(S50~H3)、稲城平尾南地区(H10~H15)の5箇所、現在事業中が稲城小田良地区(H24~)で計6事業となっています。
・稲城市について
稲城市は新宿から南西に約25㎞に位置し、JR南部線、京王相模原線の鉄道駅や中央自動車道のICが近くあり、都心まで車や電車で約30分の距離です。また、自然が多く残されていることから子育て世代の住みやすいベッドタウンとして人口増加が続いています。梨やぶどうの果樹栽培が盛んで、特に「稲城」という品種の梨は地元の直売所でしか手に入らない貴重な品種となっています。
梨とぶどう(稲城市ホームページより)
・稲城市上平尾土地区画整理事業の経緯
当地区を含む212haを東京都が施行する予定の土地区画整理事業の区域として平成9年に都市計画決定及び市街化区域に編入されました。しかし、公的住宅施策の転換や財政状況の悪化等の理由により、平成13年に東京都施行による土地区画整理事業は行わないと決定されました。
そのため、今後のまちづくりについて地元地権者と行政でまちづくり検討委員会を設置し何度も協議を重ねた結果、当地区で組合施行による土地区画整理事業を推進していくことを決定しました。平成17年8月には発起人会を発足、平成17年11月には組合設立準備会を立ち上げ、その後は具体的な事業化に向けて検討が進められ約5年の歳月を経て平成22年7月に組合設立が認可されました。
当事業は業務代行方式を採用し、工事は清水建設株式会社、保留地の買受は野村不動産株式会社が担当しました。また、調査設計・事務委託業務を弊社が組合より直接受託いたしました。
・設立認可当時の現況
組合設立認可当時の地区の現況は高低差が約40mある丘陵地であり、主に農地及び山林が広がる中に在来住宅地と開発住宅地が点在していました。道路は、既存住宅地にアクセスする道路と農地にアクセスする狭隘道路のみでした。
航空写真(平成23年)
北から見渡した地区内
狭隘道路
・施行後の特徴
航空写真(令和3年)
・高低差を活かしたまちづくり
当地区の現況は高低差が激しい丘陵地であったことから、事業費削減のため、出来るだけ既存の地形を活かした土地利用を図れるような造成計画及び換地設計を行いました。
北から見渡した地区内
道路擁壁(パンウォール工法採用)
宅地擁壁 (現場打ち鉄筋コンクリートL型擁壁工法採用)
小田急線新百合ヶ丘駅と京王相模原線若葉台駅を結ぶ都市計画道路坂浜平尾線、都県境の小田急線栗平駅側から稲城市坂浜方面を結ぶ都市計画道路小田良上平尾線の2本の幹線道路が整備されました。
この2本の都市計画道路の整備に合わせ、稲城市内では初めてとなる自動車が通れるトンネルとして、坂浜平尾線には「上平尾トンネル」、小田良上平尾線には「小田良トンネル」が整備され、多くの方々から交通の利便性がとても良くなったとの感謝の声が寄せられています。
上平尾トンネル(坂浜平尾線)
小田良トンネル(小田良上平尾線)
・統一感のあるまちなみ
当事業では集合保留地とし、業務代行者である野村不動産株式会社が保留地を一括取得。「プラウドシーズン栗平」として250区画の街並み整備リードしたことで、地区全体が統一感のある落ち着いた雰囲気の住宅地としてのブランドイメージが形成されました。
集合保留地全景
塀などがなく開放的な住宅地
住宅の価値を高めるための歩行者専用道路整備
・上平尾消防出張所の開設
当事業地内には周辺地域待望の上平尾消防出張所が開設され、周辺地域の安全安心のための新たな防災拠点が出来ました。
上平尾消防出張所
・憩いの場としての公園や緑地
当事業では公園を4箇所、既存の緑を活かした緑地5箇所を設置し、緑に囲まれた良い住環境が整備されました。
特に地区のメインな公園である三反田湧水公園には、地区北側で昔から湧いている水を園内に引き込み、湧水に親しむ癒しの空間となっています。また、事業地内で一番低い位置にあるため、地下には調整池が埋設され、水害にから地域の皆様を守る役目をしております。
三反田湧水公園 地下式調整池 公園整備前 (鶴見コンクリート株式会社パンフレットより)
三反田湧水公園
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このように弊社では、高低差のある土地、緑の保全、法規制等の様々な土地の事情に応じて調査設計を行い、土地の利用増進が可能かといったお手伝いをしています。もちろん個人の方のご相談も歓迎いたしますのでお気軽にご相談いただければ幸いです。