大和測量ブログ
平成29年10月6日に組合設立認可を受けてスタートした小平市小川四番土地区画整理事業が無事完成し、令和4年3月30日付けで組合解散認可告示を迎えましたので、ここで小平市と当事業のご紹介をしたいと思います。
小川四番地区は、東京都小平市の西部に位置し、南側が青梅街道、北側が西武鉄道拝島線に挟まれた面積約2.3haの区域です。
小平市内の組合施行土地区画整理事業小平市内における組合施行の土地区画整理事業は、昭和59年にスタートした栄町地区(S59~H6)を始めとして、小川西町地区(H8~H12)、小川町一丁目地区(H17~H25)、そしてこの小川四番地区(H29~R3)で4地区が施行されており、これらは全て弊社が立ち上げから事業完成までお手伝いをさせていただいてきました。
小平市ってどんなところ?
小平市がある場所は、江戸時代前期の明暦2年(1656年)に小川九郎兵衛によって小川村(はじめは小川新田)の開発が着手されるまでは、一面の広野だったところで、小川村の開拓がはじまってから20年ほど後に、この小川村を色鮮やかに描いた絵図(「小川村地割図」)が作られています。
中央を左右に描かれたオレンジ色の太い線が現在の青梅街道です。
青梅街道の上下には、街道から直角に並んだ細長い地割(土地の区画)があり、これが「短冊形地割」と呼ばれています。
そして、青梅街道と平行に水色に塗られた部分が人工の水路を表しており、南側が今の玉川上水、北側が今の野火止用水にあたります。
このような特徴がある地形の小川村ですが、現在は、人口19万5千人の学園都市・文化都市として成長を続け、一方で玉川上水、野火止用水や狭山・境緑道など自然環境や農地が残る東京近郊のベッドタウンとして認知されています。
小平市小川四番土地区画整理事業について
当事業地区においても、小川村開拓の特徴的な「短冊形地割」が残されており、北側に西武鉄道拝島線、南側に青梅街道に挟まれ、青梅街道沿いには住居が立ち並び、その裏側に細長い農地(生産緑地)が続いています。
地区内には狭幅員(1.8m)の農道が数本あるのみで、農業を継続するにも公共施設整備が必要であることから、土地区画整理事業の施行による早期の開発が望まれてきました。
そこで、平成22年9月に発起人会を発足、平成23年4月に組合設立準備会を立ち上げ、事業化に向けての検討が進められました。しかしながら、地区北側は西武鉄道拝島線の線路で分断されており、青梅街道側には地権者の皆様の住居が立ち並んでいるため、地区外道路との接続、特に青梅街道からの出入り口の設定検討に多くの時間を要すこととなり、平成29年10月に組合設立認可を得て、当事業がスタートしました。
当事業は業務代行方式で施行、工事は戸田建設株式会社、保留地の買受はミサワホーム株式会社が担当し、弊社が調査設計・事務局業務を受託しました。
最も苦慮した青梅街道からの出入り口は、地区内で建築資材販売を営まれている(有)竹松建材工業より、「業務用通路を利用してはどうか」とのご提案をいただき、この案が採用されたことで幅員6mの区画道路による接続が可能となりました。横断する小川用水はBOXカルバートにより整備しました。
地区南西部に「小川四番うぐいす公園」、北西部には地区外既設の児童公園と一体利用とした「小川四番馬頭公園」を設置し、西武鉄道拝島線沿線には緩衝帯として緑地を配置して、その緑地から2街区を保留地街区として戸建て住宅エリアに設定しました。
その他は、この2022年3月に期限を迎えた生産緑地の将来を見据え、幅員6mの区画道路を適宜配置し、地区計画を定めることにより、第一種低層住居専用地域の建ぺい率40%、容積率80%が、建ぺい率50%、容積率100%に変更され、土地の更なる有効活用が図られるようになり、当面の間は営農を継続することを希望されていた所有権者の皆様が、現在は特定生産緑地への切り替え手続きを済まされ、引き続き農地として利用されることになりました。
また、もう一つの課題でありました、西武鉄道拝島線により分断された地区北側との接続については、小川第7号踏切道の改修工事により、無事解決することができました。西武鉄道拝島線 小川第7号踏切道改修工事
小川第7号踏切道は、これまで車両通行不可の踏切道でしたが、平成2年に西武鉄道と地元地権者で構成する踏切統廃合協議会とで締結された確約書に基づき、土地区画整理事業の施行に合わせて西武鉄道が踏切道の改修工事を行い、組合が北側既存道路(市道)の接続整備工事を施工することにより、幅員6mの車両通行可能な踏切道に生まれ変わりました。
これまで地区北側からの車の乗り入れは、朝夕の渋滞が激しい富士見通りを利用して一旦青梅街道に出なければなりませんでした。しかし、この踏切道の改修により、地区北側から車両を直接乗り入れて青梅街道に抜けることが可能となり、富士見通り渋滞緩和の一翼を担うことになりました。
また、地区に隣接する自動車教習所では、これまで教習車両は渋滞が著しい青梅街道からの出入りしかできなかったものが、この改修された踏切道を利用することにより、スムースに出入りすることが可能となりました。
そして、組合解散認可時点において、地区内の保留地街区には36棟の戸建住宅が建築され、入居者は既に9割を超えており、これまで鉄道敷地と青梅街道沿いの既存住宅により分断されていた農地が、住と農が共存する新たな街に生まれ変わりました。当地区のように、幹線道路や水路に平等にアクセスできる短冊形地割は、農業には優れた手法として多くの地域で実施されてきました。しかし、環境が変化して土地利用を宅地へと転換する際には、この短冊形地割が大きな障害となっている地域も多く存在しています。弊社は、小平市の継続した4事業をはじめ、多くの地域でこの問題と取り組んでノウハウを蓄積してきました。都市農地の高度利用を検討される場合には、どうぞお気軽にご相談ください。